フェスのテントを探し始めると、キャンプ用のテント選びとは違う壁にぶつかります。駐車場からキャンプサイトまで荷物を担いで歩く距離、隣のテントとの間隔、寝不足の朝に待っている撤収作業。ギアの性能だけを見て選ぶと、現地で「重すぎた」「畳めない」と後悔することになります。
結論から言えば、フェスで使うテントは総重量2.5kg前後の軽量ドームか、設営約15秒のワンタッチ型のどちらかに絞ると失敗しません。キャンプ場のようにクルマを横付けできないフェスのキャンプサイトでは、重量と設営スピードがそのまま体力の残量に直結するからです。
この記事では、メーカー公式サイトで確認したスペックをもとに6モデルを重量順に比較し、フジロックやロッキンといった大型フェスの公式ルールもあわせて整理しました。テントを買う前に知っておきたい「持ち込めるかどうか」の話から、当日のペグ打ち・暑さ対策・撤収のコツまで、ひととおり分かる内容にしています。
・フェス用テントとキャンプ用テントの選び方の違い
・公式スペックで比較した6モデルの重量・価格・耐水圧
・フジロックとロッキンのテント関連ルールの違い
・キャンプサイトでの設営・暑さ対策・撤収の実践手順
フェスのテントは、キャンプ用の1張りと何が違うのか

担いで歩く距離が、そのまま重量の上限になる
フェスのテントで最初に効いてくるのは重量です。オートキャンプ場ならクルマの真横に張れますが、フェスのキャンプサイトは駐車場やシャトルバス降車場からしばらく歩きます。テント本体に加えて寝袋・マット・クーラーバッグ・着替えを一度に運ぶため、テントが約8.4kgあるか約2.5kgかで到着時の消耗がまったく変わります。
目安として、荷物をすべて手持ちで運ぶ人は総重量2.44kg級まで、キャリーワゴンを使えるフェスや複数人で分担できるグループなら約4kg以上でも現実的です。DOD ザ・ワンタッチテントMのように約8.4kgあるモデルは、3人で荷物を分担することが前提になります。
注意したいのは、公表重量に含まれるものがメーカーごとに違う点です。モンベルはペグ・張り綱・スタッフバッグを含む「総重量」と、ポールとレインフライを含む「本体重量」を分けて表記します。クロノスドーム2は総重量2.44kg、本体重量2.24kgで、この差のぶんだけ他社の表記と条件がずれることを覚えておくと比較を誤りません。
隣のテントとの距離は、想像より近い
フェスのキャンプサイトは区画分けがないフリーサイトが多く、ピーク時には張り綱が触れ合う距離まで埋まります。FUJI ROCK FESTIVAL ’26 のキャンプサイト券も、公式サイトで区画分けのないフリーサイトと案内されています。つまり、キャンプ場の感覚で大きな前室や広いタープスペースを想定すると、そもそも張る場所が確保できません。
この密度が効いてくるのが、前室の形と出入り口の向きです。前室が長く張り出すモデルは荷物置き場として便利ですが、混雑時には隣のテントの通り道をふさぎます。逆に、居住スペースが四角く前室が短いモデルは、狭い隙間にも収まります。
デメリットもあります。前室が小さいテントは、雨の日に濡れた靴やレインウェアの置き場に困ります。荷物を室内に持ち込むぶん、2人用テントを1人で使うくらいの余裕があると快適です。テントのサイズは「寝る人数+1人分」を目安にすると、この問題は起きにくくなります。
撤収は、眠くて疲れた朝の10分勝負になる
フェスの朝は、深夜まで音を浴びた翌日の寝不足状態から始まります。しかも撤収時刻はほぼ全員が同じで、シャトルバス待ちの列も伸びていきます。ここで「テントの畳み方を思い出せない」状態になると、20分も30分も溶けていきます。
撤収を短くしたいなら、構造がシンプルなモデルが有利です。キャプテンスタッグ クレセント 3人用ドームテントはポールを2本しか使わず、収納サイズは約66×14×14cmに収まります。ワンタッチ型は設営こそ約15秒ですが、たたむときは骨組みを縮めて輪をつくる手順があり、初回はここでつまずきがちです。
対策はシンプルで、自宅の庭や近所の公園で1回だけ設営・撤収を通しでやっておくことです。フェス前日の夜に説明書を読むのではなく、明るい場所で手順を体に入れておくと、当日の朝がまるごと楽になります。
フェスのキャンプサイトは「テントの性能」より「自分の体力の残り」で快適さが決まります。ライブで消耗した体で設営・撤収するので、キャンプ用に選ぶときより1ランク軽く・1ランク簡単な方向に振ると、現地での満足度が上がります。
買う前に決めておきたい、4つの判断基準
重量は「2.5kg」「4kg」「8.4kg」の3階層で考える
数あるスペックのなかで、最初に決めるべきは重量です。今回調べた6モデルは、約2.44kgから約8.4kgまで幅がありました。ざっくり3階層で考えると選びやすくなります。総重量2.5kg前後は「電車・バスでも運べる」、約4kgは「駐車場から数百メートルなら耐えられる」、約8.4kgは「複数人で分担する前提」です。
ソロで参戦し、なおかつ公共交通機関で会場入りするなら、モンベル クロノスドーム2の総重量2.44kgやムーンライト テント2の総重量2.46kgが現実的なラインになります。友人4人で乗り合わせ、荷物をワゴンで運べるなら重量の制約は緩みます。
ただし、軽いモデルほど生地は薄くなります。ムーンライト テント2の本体は20デニール・ポリエステル・リップストップで、DOD ザ・ワンタッチテントMのフライ150Dポリエステルと比べると生地の厚みは明確に違います。軽さと引き換えに、地面の小石や靴の泥に対する扱いは丁寧さが求められます。
設営時間は、雨の到着シーンで差が出る
フェスの到着時刻は、天気を選べません。土砂降りのなかでポールを通す作業と、紐を引いて約15秒で立ち上がる作業では、荷物の濡れ方がまったく違います。FIELDOOR ワンタッチテント200は公式サイトで設営時間を約15秒としており、雨の日や到着が遅れた日の保険になります。
ワンタッチ型が向くのは、初めてのフェスキャンプ、設営経験のないメンバーがいるグループ、到着が夜になる遠征組です。逆に、吊り下げ式ドームの設営を体が覚えている人なら、通常のドームテントでも数分で立ち上がります。
ワンタッチ型の弱点は収納形状です。FIELDOOR ワンタッチテント200の収納サイズは約W15cm×D15cm×H105cmで、長さが1m超の棒状になります。クルマの荷室なら問題ありませんが、電車移動では持ちにくい形です。移動手段から逆算して選びましょう。
耐水圧は1,500mmと2,000mmでどう違うのか
耐水圧は、生地が水を通さずに耐えられる水柱の高さを示す数値です。一般に1,500mmあれば通常の雨をしのげるとされ、2,000mm前後あれば強い雨でも安心感が増します。今回の6モデルでは、モンベルの2張りがレインフライ1,500mm・フロア2,000mm、コールマン ツーリングドーム/STが約2,000mm、DOD ザ・ワンタッチテントMがフライ2000mm・フロア5000mmという構成でした。
フェスで効いてくるのは、実はフライよりフロアの耐水圧です。キャンプサイトの地面は何百人分もの足で踏み固められ、雨が降ると水たまりが広がります。DOD ザ・ワンタッチテントMのフロア5000mmは、こうした水の乗った地面での安心材料になります。
一方で、耐水圧の数字だけを追いかけても浸水は防げません。フロアの下にグランドシートを敷く、テントの周囲に浅い溝を掘らない(多くのフェスで地面を掘る行為は禁止されています)、荷物を直接床に置かないといった運用でカバーする部分が大きいのが実際のところです。
実は、小さすぎるテントが夏フェスでは裏目に出る
意外と知られていませんが、夏フェスでは「小さくて軽いテント」が快適とは限りません。日中のキャンプサイトはほとんど日陰がなく、テント内の空気は昼過ぎに一気に温まります。容積が小さいテントほど空気が動かず、内部が蒸れやすくなります。
そのため、1人参戦でも2人用、2人参戦なら3人用を選ぶ発想が効いてきます。キャプテンスタッグ クレセント 3人用ドームテントは使用時サイズが約200×200×H130cmあり、2人で使えば荷物を置いても余裕が残ります。メッシュはポリエステル1mmメッシュで、夜間の通気も確保できます。
注意点は、大きくすればするほど設営面積が広がり、混雑したフリーサイトで場所を確保しにくくなることです。到着が遅い日は大型テントを張れる平地が残っていない可能性もあります。大きめを選ぶなら、早めの到着とセットで考えてください。
| ワンタッチ型のメリット | ワンタッチ型のデメリット |
|---|---|
| 設営が約15秒で終わる 説明書なしでも立てられる 雨の到着時に荷物が濡れにくい 設営経験ゼロのメンバーでも任せられる | 重量が増えやすい(約3.3kg〜約8.4kg) 収納が1m超の棒状になりやすい たたむ手順に慣れが必要 骨組みが一体なので破損時の交換が大変 |

予算を抑えて始める3張り|1万円台から2万円台

キャプテンスタッグ クレセント 3人用ドームテント:約2.5kgで13,200円
初めてのフェスキャンプで、費用も重量も抑えたい人の最有力候補です。メーカー希望小売価格は13,200円(税込)、重量は約2.5kgで、今回比較した6モデルのなかでも軽い部類に入ります。使用時サイズは約200×200×H130cm、収納サイズは約66×14×14cmです。
構造はポール2本のシンプルなドーム型で、設営・撤収の手順が少ないのが持ち味です。フライはポリエステル(PU加工・防水)、インナーはポリエステル(通気性撥水加工)、グランドシートはPEクロス、ポールはφ7mmグラスファイバーという構成になっています。
向いているのは、年に1〜2回フェスでテント泊をする人、まず1張り試したい大学生や社会人1年目のキャンパーです。2人で使えば荷物を置くゆとりも残ります。
デメリットもはっきりしています。付属ペグは4本のみで、風の強いキャンプサイトでは張り綱ぶんのペグを別に用意する必要があります。公式ページに耐水圧の記載がないため、強い雨が予想される遠征では、フライの防水スプレーやグランドシートの追加でカバーする前提で考えたいところです。
FIELDOOR ワンタッチテント200:紐を引いて約15秒で完成
設営スピードを最優先するなら、このモデルが分かりやすい選択肢です。公式サイトによれば設営時間は約15秒、使用時サイズは約W200cm×D200cm×H120cmの4人用スクエアタイプ、重量は約3.3kgです。耐水圧は1,500mm以上、UV性能はUPF50+と公表されています。
スクエア型のため、四角い床面をそのまま使えるのがフェス向きです。2人が寝てもマットの脇にバックパックを置くスペースが残ります。夏フェスの日中に一時退避する日陰としても機能します。
使いどころは、到着が夜になる遠征、設営に不慣れなメンバーがいるグループ、雨予報の週末です。逆に、電車とバスを乗り継ぐ移動では収納サイズ約W15cm×D15cm×H105cmという棒状の形が扱いにくく、キャリーワゴンやクルマがある人向きと言えます。
注意点は、たたみ方に手順があることです。骨組みを縮めながら生地を2つの輪に重ねる工程を知らないと、収納袋に戻せなくなります。公式サイトに価格の記載はなく、販売店によって金額が変わるため、購入時は販売ページの表示を確認してください。
1人用テントの重量や価格の相場をもう少し細かく見たい場合は、次の記事で軽量モデルを横並びで比較しています。

「ソロキャンプを始めたいけど、テント1人用ってどれを選べばいいの?」「軽くて安いモデルはある?」そんな疑問を持つ方は多いはずです。1人用テントは価格4,900円…
コールマン ツーリングドーム/ST:21,780円の定番、前室の広さが武器
フェスでもキャンプ場でも見かける定番で、公式オンラインショップの価格は21,780円(税込)です。インナーテントは約210×120×100(h)cm、収納サイズは約φ19×49cm、重量は約4kgという構成になっています。
この1張りの強みは、フロントポールで立ち上げる前室です。濡れた靴やレインウェアを室内に持ち込まずに済み、雨の日のフェスで効いてきます。耐水圧は約2,000mm(フライ・フロア・ルーフ)で、夏の急な雷雨にも構えられる数値です。
クルマやバイクで会場入りし、テント前で友人とコーヒーを飲む時間も楽しみたい人に向きます。別売のスチールキャノピーポールセット/145を使えば、前室をさらに広げることもできます。
弱点は重量とポール素材です。約4kgは徒歩移動には軽くなく、フレームはFRP(グラスファイバー系)のため、強風時にアルミポールほどの粘りは期待しにくくなります。風が上がる予報の日は、張り綱を全方向に取ることが前提の1張りです。
快適さで選ぶなら、この3張りが候補になる
モンベル クロノスドーム2:総重量2.44kgで24,800円
徒歩移動のフェス参戦で、居住性も落としたくない人に向く1張りです。価格は24,800円(税込)、総重量2.44kg、本体重量2.24kgで、2人用としては軽量に収まっています。レインフライの耐水圧は1,500mm、フロアは2,000mmです。
特徴は、特許取得済のバーティカル・クロス・システムという構造です。壁面が立ち上がることで、同じ床面積でも体感の広さが増します。3シーズン対応で、夏フェスから秋の高原フェスまでカバーできます。
本体は68デニール・ポリエステル・リップストップ、フロアは70デニール・ナイロン・タフタで、軽さと強度のバランスを取った素材構成です。ソロ参戦で荷物を室内に入れたい人、2人で使って荷物は前室に置きたい人のどちらにも対応できます。
注意したいのは、山岳系テント全般に共通する扱いの丁寧さです。薄い生地は焚き火の火の粉に弱く、キャンプサイトでの火気の近くには張れません。ペグダウンの本数を省くと風で生地がばたつき、傷みも早くなります。
モンベル ムーンライト テント2:暗がりでも組み立てられる構造
到着が深夜になりがちな遠征組が選ぶ理由がはっきりしているモデルです。価格は42,000円(税込)、総重量2.46kg、本体重量2.21kgで、レインフライ1,500mm・フロア2,000mmの耐水圧を備えます。
本体は20デニール・ポリエステル・リップストップ(はっ水加工、難燃加工)で、この難燃加工がフェスのキャンプサイトでは効いてきます。周囲でランタンや調理器具を使う密集地でも、生地が一瞬で溶け広がるリスクを抑えられます。
付属品はテント本体、レインフライ、本体ポール1組、反射材入り張り綱4本、16cmアルミVペグ12本、ポール応急補修用パイプ1本という構成です。張り綱に反射材が入っているため、夜のキャンプサイトで他人にロープを引っかけられる事故を減らせます。ペグが12本付く点も、別途買い足す手間が減って助かります。
デメリットは価格です。42,000円(税込)は今回の6モデルで最も高く、年に1回のフェスだけに使うには荷が重い金額です。一方で、キャンプ・登山でも使い続けるなら1回あたりのコストは下がっていきます。
DOD ザ・ワンタッチテントM:3人で泊まるなら35,370円のこの1張り
グループ参戦の拠点にするなら候補に入ります。価格は35,370円(税込)、組立サイズはW220×D450×H180cm(外寸)と大きく、大人3名が就寝できる設計です。耐水圧はフライ2000mm、フロア5000mmと高めに設定されています。
ワンタッチ構造で、傘を開くようにインナーを立ち上げてからフライをかける方式です。前室が広く、3人分のバックパックやクーラーバッグをまとめて置けます。専用グランドシートが標準付属し、バックルでテント本体に固定したまま設営・撤収できる点も、朝の時短につながります。
向いているのは、クルマで会場入りする3人グループ、雨天でも荷物を屋根の下にまとめたいファミリー参戦です。フライ150Dポリエステル(PUコーティング)、インナーフロア210Dポリエステル(PUコーティング)と生地も厚めで、扱いに神経を使いすぎずに済みます。
最大の注意点は重量約8.4kgと、収納サイズW75×D22×H22cmという大きさです。1人で担いで長距離を歩く装備ではありません。なお同シリーズのザ・ワンタッチテントLは公式サイトで販売終了扱いになっているため、大型を狙う場合は現行ラインナップを公式ページで確認してから購入してください。
移動手段が「徒歩+公共交通」ならモンベルの2張り、「クルマ+短い徒歩」ならコールマンやDOD、「費用を抑えて試す」ならキャプテンスタッグかFIELDOORという分け方で、候補はほぼ絞れます。
6モデルを重量順に並べた比較表
重量・価格・耐水圧を1枚にまとめた(キャンプ&ナイフの教科書調べ)
各メーカーの公式サイトで確認したスペックを、重量の軽い順に並べました。モンベルの数値はペグ・張り綱・スタッフバッグを含む総重量、他社は公表重量です。
| モデル | 重量 | 価格(税込) | 耐水圧 | 収容人数 |
|---|---|---|---|---|
| モンベル クロノスドーム2 | 2.44kg | 24,800円 | フライ1,500mm/フロア2,000mm | 2人用 |
| モンベル ムーンライト テント2 | 2.46kg | 42,000円 | フライ1,500mm/フロア2,000mm | 2人用 |
| キャプテンスタッグ クレセント 3人用ドームテント | 約2.5kg | 13,200円 | 公式サイトに記載なし | 3人用 |
| FIELDOOR ワンタッチテント200 | 約3.3kg | 公式サイトに記載なし | 1,500mm以上 | 4人用 |
| コールマン ツーリングドーム/ST | 約4kg | 21,780円 | 約2,000mm | 公式サイトに記載なし |
| DOD ザ・ワンタッチテントM | 約8.4kg | 35,370円 | フライ2000mm/フロア5000mm | 大人3名 |
移動手段別に見ると、選ぶべき1張りは変わる
同じフェスでも、会場入りの方法で正解は変わります。電車+シャトルバスで参戦するソロなら、モンベル クロノスドーム2の総重量2.44kgが上限に近いラインです。クルマで乗り入れて駐車場から数百メートル歩くだけなら、コールマン ツーリングドーム/STの約4kgも十分許容範囲に入ります。
3人以上のグループで、テントを共同の拠点にするならDOD ザ・ワンタッチテントMのW220×D450×H180cmが効いてきます。荷物を1カ所にまとめられるため、メンバーそれぞれが小型テントを張るよりサイト全体の面積は小さくなります。
注意すべきは、大型テントを共同で使う場合の撤収分担です。誰か1人が先に会場へ向かうと、残りの人数で約8.4kgのテントを畳んで運ぶことになります。出発時刻をあらかじめ揃えておくと、朝のトラブルを避けられます。
予算13,200円から42,000円まで、どこで線を引くか
年1回のフェス用と割り切るなら、13,200円のキャプテンスタッグ クレセント 3人用ドームテントで十分に機能します。フェスをきっかけにキャンプも始めたいなら、24,800円のモンベル クロノスドーム2のように3シーズン使えるモデルのほうが結果的に安くつきます。
42,000円のモンベル ムーンライト テント2は、フェス単体で見れば高い買い物です。ただし難燃加工の本体、反射材入り張り綱、16cmアルミVペグ12本といった構成は、密集したキャンプサイトでのトラブルを減らす方向に効きます。長く使う前提の人向けの投資と考えてください。
逆に避けたいのは、価格だけを見て極端に安い無名モデルを選び、耐水圧やポール素材が公表されていないケースです。雨と風はフェスのキャンプサイトで必ず来る条件なので、スペックが公表されているかどうかは、選ぶ側の最低ラインとして持っておきたい基準です。
ルールを読み違えると、テントは持ち込めない
フジロックは「キャンプサイト券6,000円」がないとテントを張れない
FUJI ROCK FESTIVAL ’26 では、入場券とは別にキャンプサイト券が必要です。公式サイトによると価格は全発売期間共通で6,000円(1名)、有効期限は7/23(木)12:00~7/27(月)12:00と案内されています。1枚につき1名のみ有効で、15歳以下は保護者同伴で無料です。
テント等の備品は付属しないため、テントも寝袋もマットも自分で持ち込みます。サイトは区画分けのないフリーサイトで、直火とタープ単体の使用は禁止されています。タープを日除けとして単独で張る計画は立てられない、という点は事前に押さえておきたいところです。
さらに、傘はキャンプサイトを含む全てのエリアで使用禁止とされています。雨具はレインウェアとポンチョで用意する前提です。最新の条件はFUJI ROCK FESTIVAL 公式サイトのチケットページとフェスティバル・ガイドラインで確認してください。
ロッキンは会場内にテントを持ち込めない
同じ大型フェスでも、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026 は前提が違います。公式のNOTICEでは、テント・タープ・パラソル・イス(折りたたみイス/ステップも不可)・ハードタイプのクーラーボックス・キャリーカートなどが会場内への持ち込み禁止物として挙げられています。
使えるのはシートで、決められたエリアに限って利用でき、サイズは2m×2m以内が推奨されています。拠点を作って長時間占有する行為は禁止で、場所取りのために放置された荷物は撤去されると明記されています。
つまり「フェス テント」と検索して買ったテントが、行こうとしているフェスでは1度も使えない可能性があります。テントを買う前に、自分が行くフェスの公式ページで持ち込み可否を読むのが最初の手順です。詳細はROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026 公式NOTICEで確認できます。
失敗パターン:日帰りフェスにサンシェードを持ち込んで引き返す
よくある失敗が、「日陰がないと聞いたから」とポップアップのサンシェードを持参し、ゲートで持ち込みを断られるケースです。フジロックのガイドラインでも、タープ・パラソル・サンシェード・テント(キャンプサイト除く)その他、視界を遮る設置物が禁止物として挙げられ、持ち込んだ場合は場外へ持ち出す必要があると案内されています。
原因は、キャンプサイトのルールと会場内のルールを混同することです。キャンプエリアではテントを張れても、ライブエリアでは視界と安全の観点から設置物が制限されるのが一般的です。
対策は単純で、公式サイトの「持ち込み禁止物」と「キャンプサイト」の項目を別々に読むこと。そして、日陰対策はテントではなく帽子・日傘に代わる冷感タオル・水分といった身につけるアイテムに置き換えることです。荷物も軽くなり、ゲートで足止めされる心配もなくなります。
ルールは開催年ごとに更新されます。前年に使えた装備が今年は禁止物になっていることもあるため、参加が決まった時点と出発前の2回、公式サイトの禁止物リストを確認してください。テント内での火気(ランタン・バーナー・炭)の使用は、一酸化炭素中毒と火災の危険があるため行わないでください。
設営から撤収まで、キャンプサイトで差がつく実践術
場所選びは「傾斜・動線・音」の3点で決まる
フリーサイトでまず見るべきは地面の傾斜です。スキー場のゲレンデを使う会場では、平らに見える場所でも寝ると頭側か足側に体が滑ります。荷物を降ろす前に、寝る向きを決めて数十秒その場に寝転がってみると失敗が減ります。
次にトイレと水場への動線です。近すぎると人の往来と話し声が一晩中続き、遠すぎると夜中の移動が負担になります。トイレの明かりが視界に入るくらいの距離が、暗闇での安全と静けさのバランスとして扱いやすい位置です。
音についても割り切りが必要です。会場に近いエリアは深夜まで音が届き、遠いエリアは静かなぶん歩く距離が伸びます。ライブを最後まで見る人は近いエリア、睡眠を優先する人は遠いエリアという分け方で選ぶと、翌日の体力が変わります。
失敗パターン:4隅だけ留めて、夜中にテントが浮く
設営でいちばん多い失敗が、テント本体の4隅だけをペグダウンして張り綱を省略することです。日中は無風でも、夕方から風が上がるとフライがばたつき、明け方の突風で本体ごと持ち上がります。フェスのキャンプサイトでは、飛んだテントが隣の人に当たる事故にもつながります。
原因は、設営時の疲労と「今日は風がないから」という判断です。対策は、張り綱を全方向に取り、ペグは地面に対して斜めに打ち込むこと。付属ペグが4本だけのモデルを使う場合は、ペグを別途10本前後用意しておくと安心です。モンベル ムーンライト テント2のように16cmアルミVペグ12本が付属するモデルは、この点で手間が減ります。
地面が固くてペグが入らないときは、無理に叩き込まずに角度を変えるか、張り綱の先を重しで固定する方法に切り替えます。ペグ打ちの基本手順は次の記事にまとめています。

夏フェスの暑さは、テント内で最も危険になる
日中のテント内は、直射日光を受けて外気より高温になります。環境省と気象庁は、暑さ指数(WBGT)が33以上と予測された場合に熱中症警戒アラートを発表しています。暑さ指数は気温だけでなく湿度や日射・輻射を取り入れた指標で、全国の実況値・予測値が環境省熱中症予防情報サイトで公開されています。
対策は、昼間はテントの中で休まないこと、出入り口とメッシュを対角に開けて風を通すこと、そしてフライの上に日除けを重ねて直射を減らすことです。FIELDOOR ワンタッチテント200のUPF50+のように、紫外線対策が公表されているモデルは日中の待機場所としては有利になります。
それでも、テント内で体調に異変を感じたら救護所へ向かってください。フェス会場には救護テントが設けられていることが多く、我慢して自力で回復しようとするのが最も危険です。水と塩分をこまめに取る前提で行動を組み立ててください。
撤収は「乾かす・畳む・持ち帰る」を朝一で始める
撤収でつまずくのは、夜露で濡れたフライをそのまま袋に押し込んでしまうケースです。帰宅後に開くとカビ臭が発生し、翌年には使えない状態になります。朝いちばんにフライを裏返して10分ほど風に当てるだけでも、持ち帰り後の被害は変わります。
ワンタッチ型は畳み方が独特で、骨組みを縮めながら生地を輪にする手順を知らないと収納袋に入りません。慌てて力任せに曲げるとフレームが折れます。ポップアップ型やワンタッチ型のたたみ方は、次の記事の手順が参考になります。

広げるときは1秒。なのに、しまうときだけ地獄。ポップアップテントを前に「なんで戻らないんだ」と20分格闘した経験、キャンプ場や海水浴場では珍しくありません。子ど…
最後にゴミです。多くのフェスでは分別が細かく指定され、キャンプサイトにテントや寝袋を置き去りにする行為は問題になっています。壊れたテントも自分で持ち帰るのが原則で、これができる範囲の装備量に抑えることが、そもそもの荷造りの基準になります。
まとめ|フェスのテントは重量と設営時間から逆算する
最初の一歩としておすすめしたいのは、テントを買う前に自分が行くフェスの公式サイトで「持ち込み禁止物」と「キャンプサイト」の2ページを読むことです。テントを張れるフェスなのかが分かれば、候補は自然に絞られます。そのうえで費用を抑えたいなら13,200円のキャプテンスタッグ クレセント 3人用ドームテント、徒歩移動が長いなら総重量2.44kgのモンベル クロノスドーム2、設営スピード優先ならFIELDOOR ワンタッチテント200という順で検討すると、迷う時間を短くできます。そして買ったテントは、フェス前に一度だけ庭や公園で設営から撤収まで通しておいてください。この30分が、当日の朝を救ってくれます。
※価格・スペック・フェスのルールは変更されることがあります。参加前に各メーカー・主催者の公式サイトで最新情報をご確認ください。


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