冬キャンプの夜、テントの中で薪がパチパチと爆ぜる音を聞きながら、天板でコトコト煮込み料理を温める——。そんな「冬ごもりキャンプ」に憧れて、キャンプ用薪ストーブを探し始めた人は多いはずです。ところが、いざ調べてみると「時計型」「ボックス型」「二次燃焼ウッドストーブ」と種類が多く、価格も3,000円台から5万円超までバラバラで、何を基準に選べばいいのか迷ってしまいます。
結論から言うと、最初の一台は「素材」「重量」「投入できる薪の長さ」の3点で絞り込めば失敗しません。軽さを優先するならチタン、コスパと扱いやすさならステンレスの時計型、炎を眺めて長く使いたいなら窓付きの本格モデル、という具合に用途で正解が変わります。
この記事では、メーカー公表値をもとにした6モデルの重量・価格・素材の比較から、タイプ別の特徴、テント内で使うときの一酸化炭素対策、料理とメンテナンスのコツまでをまとめて解説します。価格はすべて2026年6月時点でメーカー公式・販売店で確認した数値です。
・薪ストーブと焚き火台の決定的な違いと、向いているキャンプスタイル
・素材・重量・薪の長さで選ぶ、失敗しない選び方の3ステップ
・重量107g〜9.4kgまで、価格帯別おすすめ6モデルの実スペック比較
・テント内で命を守る一酸化炭素対策と、料理・メンテナンスのコツ
キャンプ用薪ストーブの魅力と焚き火台との決定的な違い

キャンプ用薪ストーブは「煙突付きの密閉型ストーブ」で、開放型の焚き火台とは熱の使い方も使える場面もまるで違います。ここでは両者の違いを整理し、薪ストーブが本当に必要なキャンパーはどんな人かを最初にはっきりさせておきます。
薪ストーブは「熱を閉じ込めて使う」道具
薪ストーブ最大の特徴は、燃焼室を箱で囲い、発生した熱を本体と天板、煙突に伝えて効率よく暖房・調理に使う点です。開放型の焚き火台は熱の大半が上方向へ逃げますが、薪ストーブは熱を本体内にとどめるため、同じ薪の量でも体感の暖かさが段違いです。ホンマ製作所のASS-60は最大熱出力4.2kW、暖房面積の目安10〜15坪と、テント内を十分に暖められる火力を持ちます。煙突で煙を外へ排出できるので、幕内に煙が充満しにくいのも焚き火台にはない強みです。一方で、煙突や本体が大きく、設営に手間がかかる点は理解しておきましょう。冬の連泊や冬ごもりキャンプで「テント内をしっかり暖めたい」人に向く道具です。
焚き火台との違いは「煙突の有無」と暖房効率
焚き火台と薪ストーブの最大の違いは煙突の有無です。焚き火台はオールシーズン手軽に火を楽しめる反面、暖房としての効率は高くありません。薪ストーブは煙突でドラフト(上昇気流)を作って燃焼を安定させ、テント内でも使える設計になっています。逆に言えば、夏場や暖を取る必要がないシーンでは薪ストーブはオーバースペックで、設営・撤収の手間だけが残ります。焚き火を「眺めて楽しむ」「調理に使う」のが主目的なら焚き火台、「テント内を暖めて越冬する」のが目的なら薪ストーブ、と割り切るのが正解です。両方の特徴を踏まえて選びたい人は、焚き火台側の選び方も合わせてチェックしておくと判断しやすくなります。

薪ストーブが向いているキャンパーとは
薪ストーブが活きるのは、気温が一桁台まで下がる晩秋〜冬にテント泊する人、煙突を立てられる幕(コットンテントや薪ストーブ対応の煙突ポート付きシェルター)を持っている人です。とくにファミリーやグループで、就寝前に幕内をしっかり暖めたい層と相性が良いです。逆に、ナイロン製の小さなソロテントしか持っていない人や、3シーズン中心で活動する人にはメリットが小さく、火災・一酸化炭素のリスクだけが増えます。導入前に「自分のテントは薪ストーブに対応しているか」を必ず確認しましょう。煙突を通す穴のないテントに無理やり設置するのは事故のもとです。
| 薪ストーブのメリット | 薪ストーブのデメリット |
|---|---|
| テント内をしっかり暖められる 煙突で煙を外へ排出できる 天板で調理・湯沸かしができる 炎を眺める癒やし効果(窓付きモデル) |
本体・煙突がかさばり重い 設営・撤収に手間がかかる 一酸化炭素中毒のリスク管理が必須 対応テントが必要 |
失敗しない選び方は「素材・重量・薪の長さ」の3点
薪ストーブ選びは数値で判断できます。ここでは素材・重量・投入できる薪の長さ・煙突径という4つの軸を、具体的なモデルの数字とともに見ていきます。スペック表の見方さえ覚えれば、店頭でもネットでも自分に合う一台を絞り込めます。
素材で決まる「重さ」と「価格」と「サビやすさ」
薪ストーブの素材は主にステンレス・チタン・鉄板(鋼板)の3種類です。ステンレスはサビに強く価格と耐久性のバランスが良いため、初心者に最もおすすめできる素材です。ホンマ製作所のASS-60はステンレス(SUS430)製で16,500円と手が届きやすい価格。チタンは純チタンのウッドストーブで重量107g台と圧倒的に軽く、ザックに入れて運べますが、薄い板のため大火力では歪みやすく価格も上がりがちです。鉄板は蓄熱性が高く炎が安定しますが、重く湿気でサビやすいのでメンテナンスが前提になります。「軽さ重視ならチタン、扱いやすさとコスパ重視ならステンレス」と覚えておけば大きく外しません。
| 比較項目 | ステンレス | チタン | 鉄板(鋼板) |
|---|---|---|---|
| 重さ | 中(6〜10kg) | 軽い(100g〜) | 重い |
| サビにくさ | ◎ | ◎ | △ |
| 蓄熱性 | ○ | △ | ◎ |
| 価格の目安 | 1.6万〜5万円 | 3千〜数万円 | 1万円前後〜 |
※キャンプ&ナイフの教科書調べ。価格はメーカー公式・販売店の2026年6月時点の確認値をもとにした目安です。
重量と収納サイズは「運搬手段」から逆算する
薪ストーブは焚き火台よりはるかに重く、運搬手段から逆算して選ぶのが鉄則です。オートキャンプで車に積めるなら6〜10kg級でも問題ありません。ホンマのASS-60は6.6kg、APS-48DXは約6.9kg、Winnerwell Nomad Mサイズは約9.4kgと、いずれも車載前提の重さです。一方、徒歩やバイク、ツーリングで運ぶなら107g台のチタン製ウッドストーブのような軽量モデルが現実的です。収納サイズも要チェックで、Winnerwell Nomadは煙突を本体に収納でき380×200×H210mmまでコンパクトになります。「車なら重さより火力、徒歩なら軽さ最優先」と運搬手段で線引きしましょう。重い本体を無理に背負うと移動だけで体力を削られます。
投入できる薪の長さと天板サイズを見落とさない
意外と見落としがちなのが、燃焼室に入る薪の長さです。これが短いと、キャンプ場で売られている薪をいちいち切る手間が発生します。ホンマASS-60は最大薪長さ500mmと長く、市販の薪をほぼそのまま投入できます。コンパクトなAPS-48DXは最大400mmで、長い薪はノコギリでカットが必要です。天板サイズも調理のしやすさを左右し、広い天板ならダッチオーブンとケトルを同時に乗せられます。料理を重視するなら天板が広く薪が長く入るモデル、軽さ重視なら割り切って小型、と用途に合わせて選びましょう。薪のカットが面倒で結局使わなくなる、という失敗はここで防げます。
煙突径と煙突の長さは安全性に直結する
煙突径と長さは、燃焼効率と安全性に直結する重要なスペックです。煙突径はASS-60がφ106mm、APS-48DXがφ100mm、Winnerwell Nomad Mが63mmと、モデルによって異なります。径が太いほど排煙能力が高く煙が逆流しにくい一方、収納はかさばります。煙突は高く立てるほどドラフトが強まり燃焼が安定するため、テントの高さに対して煙突が十分立てられるかを必ず確認しましょう。Winnerwell Nomad Mは組立時の高さが約2260mmに達します。煙突が短いと不完全燃焼を起こしやすく、一酸化炭素発生のリスクが高まるため、付属の煙突本数とテント高のバランスを購入前にチェックしてください。
タイプ別に見る薪ストーブの種類と特徴

キャンプ用薪ストーブは形状で大きく3タイプに分かれます。それぞれ得意な場面が違うので、自分のキャンプスタイルに合うタイプを知っておくと、製品選びがぐっと楽になります。
定番の「時計型ストーブ」は安さと火力が魅力
時計型ストーブは、円筒形の本体に丸い投入口が付いた昔ながらの形で、価格と火力のバランスに優れた定番です。ホンマ製作所のASS-60が代表格で、ステンレス製・6.6kg・16,500円と価格が手頃な割に最大熱出力4.2kWの高火力を発揮します。天板が広く、3升のご飯や30Lの湯沸かしもこなせるため、ファミリーやグループの炊き出しにも向きます。デメリットは炎が見えないモデルが多いことと、円筒形でやや収納がかさばること。「とにかく安く確実に暖まりたい」「料理にガンガン使いたい」人の最初の一台として鉄板の選択肢です。窓付きの時計型もあるので、炎を眺めたい人はそちらを検討しましょう。
炎が見える「窓付きボックス型」は癒やしと実用の両立
正面や側面に耐熱ガラス窓を備えたボックス型は、炎の揺らぎを眺めながら暖を取れる「映える」タイプです。ホンマのAPS-48DXは三面ガラス窓を備え、約6.9kg・煙突径φ100mmとホンマ史上最小クラスの時計型として人気。テンマクデザインのウッドストーブ サイドビューMは両サイドと正面に窓を持ち、49,280円とやや高価ですが、どの角度からも炎を楽しめます。デメリットはガラスがススで汚れること、価格が時計型より上がること。「暖房だけでなく、薪ストーブのある時間そのものを楽しみたい」人に向くタイプです。就寝前のリラックスタイムを大切にするキャンパーから支持されています。
超軽量な「二次燃焼ウッドストーブ」は徒歩キャンプの相棒
二次燃焼ウッドストーブは、煙突を持たない小型の燃焼器で、二次燃焼により少ない薪で高温の炎を作るタイプです。チタンマニアの純チタン製ウッドストーブは重量約107g・約3,000円と、ザックの隙間に入る軽さが魅力。Lixadaのチタン製折りたたみモデルも約4,999円で手に入ります。厳密にはテント内暖房用の薪ストーブとは別物で、調理用コンロや小規模な焚き火に近い使い方になりますが、徒歩・バイクキャンプで「薪を燃料に料理したい」UL(ウルトラライト)派には最適です。火力の持続時間が短く本格的な暖房には不向きな点は理解しておきましょう。軽さと引き換えに暖房力を捨てた割り切り設計です。
「高い薪ストーブほど暖かい」と思われがちですが、実は暖かさを決めるのは価格より煙突の高さと薪の質です。よく乾いた薪を使い、煙突を十分に立ててドラフトを効かせれば、1万円台のASS-60でもテント内を十分暖められます。逆に生乾きの薪を高級ストーブに入れると、不完全燃焼で煙だらけ・暖まらない・煙突が詰まるの三重苦に。最初に投資すべきは本体のグレードより「乾いた薪の確保」かもしれません。
1万円台から狙えるコスパ重視のおすすめ薪ストーブ3選
まずは予算を抑えて始めたい人向けに、3,000円台〜1万円台で買えるコスパモデルを3つ紹介します。価格はメーカー公式・販売店で確認した2026年6月時点の数値です。重量順に並べた比較表も参考にしてください。
| モデル | 重量 | 素材 | 価格 |
|---|---|---|---|
| チタンマニア ウッドストーブS | 約107g | 純チタン | 約3,000円 |
| Lixada チタン製ウッドストーブ | 軽量・折りたたみ | チタン | 約4,999円 |
| ホンマ ASS-60 時計1型 | 6.6kg | ステンレス | 16,500円 |
チタンマニア ウッドストーブS|107gの超軽量モデル
とにかく軽さを求めるなら、チタンマニアの純チタン製ウッドストーブが第一候補です。重量約107gは缶コーヒー1本より軽く、約3,000円で手に入るコスパも魅力。組立式の二次燃焼タイプで、小枝や薪を燃やして調理や小さな焚き火を楽しめます。徒歩やバイクでのソロキャンプ、UL装備を組みたい人に最適で、ザックの隙間にすっと収まります。注意点は、テント内暖房用の本格薪ストーブではないこと。火力の持続が短く、寒冷地での暖房には力不足です。あくまで「軽量な調理・焚き火ギア」と割り切って使うのが正解。大火力で長時間使うと薄いチタン板が変形することもあるので、無理な使い方は避けましょう。
Lixada チタン製ウッドストーブ|折りたたみで携帯性抜群
折りたたんで平らに収納できる携帯性を求めるなら、Lixadaのチタン製ウッドストーブが選択肢に入ります。約4,999円という低価格ながらチタン製で、使わないときはパネル状にたためてザックの背面にぴったり収まります。軽量で持ち運びやすく、ソロの調理用コンロや簡易的な焚き火に向いた一台です。デメリットは、低価格帯ゆえに板厚や仕上げの個体差があり、長期間ハードに使うと歪みが出る可能性があること。価格は変動しやすいため、購入時は最新の価格を確認してください。「まずは安くチタンのウッドストーブを試したい」入門者に向くモデルで、本格的な薪ストーブへステップアップする前の一台としても使えます。
| 商品名 | ステンレス時計1型薪ストーブセット ASS-60 |
| メーカー | ホンマ製作所 |
| 価格帯 | 16,500円(税込) |
| 重量 | 6.6kg |
| サイズ | W400×D600×H345mm/煙突径φ106mm |
| 素材・特徴 | ステンレス(SUS430)/最大薪長さ500mm・最大熱出力4.2kW・暖房目安10〜15坪 |
ホンマ ASS-60|1万円台で買える高火力の定番
本格的な暖房と料理を1万円台で実現したいなら、ホンマ製作所のASS-60が鉄板の答えです。ステンレス(SUS430)製で6.6kg、16,500円という価格ながら、最大熱出力4.2kW・暖房目安10〜15坪と、テント内を一気に暖める火力があります。最大薪長さ500mmと長く、市販の薪をほぼそのまま投入できるのも実用的。広い天板で羽釜やダッチオーブンも扱え、3升のご飯も炊けます。ファミリーやグループの冬キャンプ、炊き出しにも対応する万能型です。デメリットは円筒形でやや収納がかさばること、標準では炎が見えないこと。「安くて確実に暖かい本格薪ストーブが欲しい」人の最初の一台として、迷ったらこれを選んで間違いありません。メーカー公式の仕様はホンマ製作所オンラインショッピングで確認できます。
長く使える本格派・高機能の薪ストーブ3選
続いて、炎を眺めて楽しめる窓付きモデルや、長年使える本格派を3つ紹介します。価格は2万円台〜5万円弱とコスパ機より上がりますが、その分の満足度と耐久性が得られるモデルです。
| 商品名 | ステンレスストーブコンロセット APS-48DX |
| メーカー | ホンマ製作所 |
| 価格帯 | 23,000円台(販売店により変動) |
| 重量 | 約6.9kg(本体約4.6kg) |
| サイズ | W280×D480×H445mm/煙突径φ100mm |
| 素材・特徴 | ステンレス/三面ガラス窓・最大薪長さ400mm・最大熱出力3000kcal |
ホンマ APS-48DX|三面ガラス窓のコンパクト時計型
炎を眺めつつコンパクトに持ち運びたいなら、ホンマのAPS-48DXが好バランスです。三面ガラス窓を備え、約6.9kg・煙突径φ100mmとホンマ史上最小クラスの時計型として人気。本体のみなら約4.6kgで、車載でも扱いやすいサイズです。価格は23,000円台と時計型ASS-60より上がりますが、窓から炎を楽しめる満足度は段違い。最大薪長さは400mmで、長い薪はカットが必要になる点は留意しましょう。最大熱出力3000kcalとソロ〜デュオの幕を暖めるのに十分な火力です。「定番ホンマの安心感を保ちつつ、炎も楽しみたい」ソロ・デュオキャンパーに向く一台。窓のススはこまめに拭くと美しい炎をキープできます。
| 商品名 | Nomad Mサイズ(63mm) |
| メーカー | Winnerwell(ウィンナーウェル) |
| 価格帯 | 約49,800円 |
| 重量 | 約9.4kg |
| サイズ | 収納380×200×H210mm/煙突径63mm |
| 素材・特徴 | ステンレス304/煙突を本体に収納可・組立高さ約2260mm |
Winnerwell Nomad Mサイズ|煙突を本体収納できる本格派
収納性と質感を両立した本格派なら、Winnerwell Nomad Mサイズが定番です。ステンレス304製で約9.4kgとやや重いものの、煙突をすべて本体内に収納でき、収納時は380×200×H210mmまでコンパクトになります。組立時の煙突高は約2260mmに達し、強いドラフトで安定した燃焼を実現。価格は約49,800円と高価ですが、堅牢な作りで長年使える定番モデルです。デメリットは重さと価格。徒歩キャンプには不向きで、車載前提のギアです。「一生モノとして長く使える本格薪ストーブが欲しい」人や、収納のスマートさを重視する人に向きます。メーカー公式の仕様はWINNERWELL Nomad Japan公式オンラインストアで確認できます。
テンマクデザイン ウッドストーブ サイドビューM|全方位から炎を楽しむ
炎の鑑賞性を最優先するなら、テンマクデザインのウッドストーブ サイドビューMが筆頭候補です。両サイドと正面に耐熱ガラス窓を備え、どの角度からでも揺らめく炎を眺められる設計。価格は49,280円(税込)、より大きなLサイズは60,280円(税込)です。窓から入る光がテント内を幻想的に照らし、就寝前のリラックスタイムを格上げしてくれます。デメリットはガラス面積が大きいぶんススで汚れやすく、こまめな清掃が必要なこと、そして価格が高めなこと。「薪ストーブのある時間そのものを味わいたい」眺望重視のキャンパーに向く一台です。窓が多い構造は熱の放射も増えるため、テント内が明るく暖かい空間になります。
テント内で命を守る一酸化炭素対策と設置のコツ
薪ストーブで最も注意すべきは一酸化炭素(CO)中毒です。毎年冬になると、テント内でのストーブ使用による事故が報告されています。ここでは命を守るための換気・警報器・設置のルールを具体的に解説します。
テントは住宅より狭く密閉性が高いため、薪ストーブ使用時は容易に酸欠・一酸化炭素中毒を起こします。一酸化炭素は無色無臭で気づけないのが最も怖い点。「換気」と「一酸化炭素警報器」は省略せず、必ず両方を併用してください。眠気や頭痛を感じたら中毒の初期症状を疑い、すぐにテントを開けて外に出ましょう。
「換気を切らさない」のが絶対の鉄則
テント内で薪ストーブを使う際は、ベンチレーション(換気口)を常に複数開けておくのが絶対のルールです。テントは住宅に比べて狭く密閉性が高いため、締め切ると少しの燃焼でも酸素が不足し、不完全燃焼で一酸化炭素が発生します。換気口付きのテントでも、必ず吸気口として数カ所を開けておきましょう。寒いからと完全に閉め切るのが最も危険な行為です。換気は一酸化炭素対策の補助ではなく主役で、警報器はあくまでバックアップと考えてください。眠るときも換気を維持し、就寝中は火を落とすのが安全策。寒さ対策は換気を保ったうえで、シュラフやマットの断熱性能で補うのが正しい順番です。
一酸化炭素警報器は「必須装備」と考える
一酸化炭素警報器(COアラーム)は、薪ストーブを使うなら必須装備です。一酸化炭素は無色無臭で、人間の五感では一切感知できません。警報器はテント内のCO濃度を検知し、危険な濃度になるとアラームで知らせてくれます。設置位置は、ストーブの近すぎず人の呼吸する高さ付近が目安です。注意したいのは、警報器があっても換気を怠ってよいわけではない点。警報器はあくまで補助的な役割で、定期的な換気と併用して初めて安全が確保されます。電池切れや故障に備え、出発前に動作確認を行い、予備電池も用意しておきましょう。数千円の装備で命を守れると考えれば、薪ストーブ本体と同時に必ず揃えておきたいアイテムです。
失敗例に学ぶ「設置と地面保護」の正解
よくある失敗が、地面の保護を怠ってテント床や芝を焦がしてしまうケースです。「耐熱シートを敷かずに薪ストーブを設置したら、火の粉と輻射熱でテントの床を溶かし、キャンプ場の芝も焦がして弁償することになった」という事例は珍しくありません。対策はシンプルで、ストーブの下には必ず難燃性のスパッタシートや耐熱シートを敷き、本体は安定した平らな場所に水平に設置します。煙突がテント生地に触れる箇所には専用の煙突ガード(防炎の幕除け)を使いましょう。地面保護用のシートは100均でも手に入るので、設営前のひと手間を惜しまないことが大切です。安全対策の基本は地面保護から始まります。

薪ストーブ料理を楽しむコツと長持ちさせるメンテナンス
薪ストーブの楽しみは暖房だけではありません。天板や庫内を使った料理、そして長く使うためのメンテナンスまで知っておくと、一台を何年も相棒にできます。最後に実践的なコツをまとめます。
天板と庫内をフル活用する料理のコツ
薪ストーブは天板・庫内・煙突の3カ所が使える「冬の総合調理場」です。天板の中央は高温になるので湯沸かしや炒め物に、端は弱火になるので煮込みや保温に使うと、火力を一台で使い分けられます。広い天板を持つホンマASS-60なら、ケトルとダッチオーブンを同時に乗せられ、コーヒーを沸かしながら煮込み料理も進行できます。庫内に耐熱皿を入れれば焼き芋やピザも楽しめます。注意点は、天板は非常に高温になるため必ず革手袋を使うこと、こぼした油や食材が焦げ付くと掃除が大変になることです。鋳鉄やステンレスの調理器具を使い、樹脂ハンドルの鍋は変形するので避けましょう。
逆に「やってはいけない」薪と着火のNG
薪ストーブで最もやりがちな失敗が、生乾きの薪を使うことです。「現地調達した湿った薪を入れたら、煙ばかり出て暖まらず、煙突がススで詰まって翌朝には逆流して幕内が煙だらけになった」という失敗は典型例。薪は含水率20%以下のよく乾いたものを使うのが鉄則です。着火には乾いた細い枝や着火剤、ファイヤースターターを活用し、最初は小さな火から徐々に薪を足して庫内を温めると、煙が少なくスムーズに燃焼が立ち上がります。針葉樹はススやタールが出やすいので、就寝前など長時間の使用には広葉樹を選ぶのがおすすめ。着火に不安がある人は、確実に火種を作れる道具を揃えておくと安心です。

サビと煙突詰まりを防ぐメンテナンス術
薪ストーブを長持ちさせる鍵は、撤収時の「乾燥」と定期的な「煙突掃除」です。使用後は本体内の灰を完全に取り除き、湿気が残らないよう乾燥させてから収納します。鉄板製は特にサビやすいので、薄く油を塗っておくと効果的。ステンレス製でも結露や雨で濡れたまま収納するとサビの原因になります。煙突は使うほどススやタールが内側に堆積し、放置すると排煙効率が落ちて不完全燃焼や煙道火災のリスクが高まるため、シーズンごとに専用ブラシで掃除しましょう。ガラス窓付きモデルは、ススを濡らした新聞紙に灰を付けて拭くときれいに落ちます。手入れを習慣にすれば、ホンマの定番モデルもWinnerwellの本格機も、何年も冬の相棒として活躍してくれます。
まとめ|キャンプ用薪ストーブは「運搬手段と素材」で選べば失敗しない
キャンプ用薪ストーブは、焚き火台と違って熱を閉じ込めて使う暖房・調理の道具です。選ぶときは難しく考えず、まず「車載か徒歩か」で重量帯を絞り、次に「素材」と「炎を見たいか」で形状を決めれば、自分に合う一台にたどり着けます。価格は3,000円台のチタン製ウッドストーブから5万円弱の本格モデルまで幅広く、必ずしも高価なものが正解ではありません。乾いた薪の確保と十分な煙突高があれば、1万円台のモデルでもテント内を十分暖められます。何より優先すべきは安全で、換気と一酸化炭素警報器は省略せず必ず併用してください。
最後に、この記事の要点を整理しておきます。
- 薪ストーブは煙突で煙を排出し、テント内を効率よく暖められる暖房道具
- 選び方は「素材・重量・薪の長さ・煙突径」の数値で判断する
- コスパと火力ならホンマ ASS-60(6.6kg・16,500円・最大薪500mm)が定番
- 炎を楽しむなら窓付きのAPS-48DXやテンマク サイドビューM
- 収納性と質感の本格派ならWinnerwell Nomad M(収納380×200×210mm)
- 軽さ最優先の徒歩キャンプには107g台のチタン製ウッドストーブ
- 一酸化炭素対策(換気+警報器)と地面保護は絶対に省略しない
最初の一歩としておすすめなのは、車で運べる人ならホンマ ASS-60を選び、同時に一酸化炭素警報器と耐熱シートを揃えること。この3点があれば、安全に冬ごもりキャンプの第一歩を踏み出せます。乾いた薪を用意して、パチパチと爆ぜる炎とともに過ごす冬の夜を楽しんでください。なお、価格やスペックは改定されることがあるため、購入前に最新情報は各メーカーの公式サイトでご確認ください。
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