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「鍛造ペグは頼もしいけれど重い」「アルミペグは軽いけれど硬い地面で曲がる」。ペグ選びで一度はこの板挟みに悩みますよね。そこで候補に上がるのがチタンペグです。軽さと強さを両立した素材として、ソロキャンパーから登山のテント泊まで使う人が年々増えています。
先に結論を言うと、チタンペグは「持ち運ぶ重さを減らしたいけれど、固定力は落としたくない人」に向いた道具です。一方で、価格は鍛造スチールより高く、細いピン型は柔らかい地面で抜けやすいという弱点もあります。万能のペグではなく、使う場所と形状を選んではじめて本領を発揮するタイプです。
この記事では、チタンという金属の性質から、鍛造スチール・ステンレスとの重量比較、ピン型・V型・幅広型の使い分け、そしてメーカー公式スペックで確認した現行モデルまで、焚き火を囲みながら話すように整理しました。買ってから「思っていたのと違う」とならないよう、失敗しやすいポイントも正直にお伝えします。
・チタンペグが軽くて錆びない理由と、純チタン・64チタン合金の違い
・鍛造スチールやステンレスのペグと比べた重量と価格の差
・ピン型・V型・幅広型・ネイル型の形状別の使い分け
・公式スペックで確認した現行モデルと、長さの選び方・扱い方のコツ
チタンペグとは?鉄の約半分の比重で錆びない金属のペグ

チタンは「鉄の約半分の重さで、強さは鋼並み」の金属
チタンペグの一番の特徴は、軽さと強さを同時に持っていることです。国内でチタンの溶解から最終製品までを一貫して手がける神戸製鋼のチタン解説ページによると、チタンの比重は4.51で鉄の約半分、ステンレスと比べても60%の軽さとされています。それでいて強度は鋼に匹敵するため、「細くしても曲がりにくい」ペグが作れるわけです。
キャンプの場面で考えると、この性質はペグの本数が増えるほど効いてきます。ソロテントでも本体とフライ、張り綱を合わせるとペグは8〜12本ほど使いますし、タープを追加すればさらに増えます。1本あたりの差は数十グラムでも、まとめて持つと収納袋の重さがはっきり変わります。徒歩キャンプやバイクツーリングで荷物を軽くしたい人ほど、恩恵を感じやすい素材です。
注意したいのは、「軽い=アルミより軽い」ではない点です。比重だけで見ればアルミのほうが軽く、同じ太さならアルミペグのほうが軽く仕上がります。チタンの価値は、アルミでは曲がってしまう硬い地面でも使える強さを、スチールより軽い重量で実現していることにあります。軽さだけを求めるなら、アルミやカーボンの選択肢もあることを覚えておきましょう。
「錆びない」は海辺や雨キャンプで効いてくる
チタンのもうひとつの強みは耐食性です。神戸製鋼の解説でも、チタンは海水中でも錆びない金属として紹介されています。スチールのペグは塗装がはがれた部分から赤錆が出てきますが、チタンペグはその心配がほとんどありません。
この差がはっきり出るのが、雨の撤収と海辺のキャンプです。濡れた土をつけたまま収納袋に入れて帰宅し、数日放置してしまった経験は誰にでもあるはず。スチールならそのまま錆が進みますが、チタンなら泥を洗い流して乾かせば元どおりです。湖畔や海沿いのキャンプ場をよく使う人、雨でも出かける人にとっては、メンテナンスの手間が減るのは大きなメリットです。
ただし「錆びない」は「汚れない」ではありません。使ううちに打撃面にはハンマーの傷がつき、地面との摩擦で表面の色もくすんできます。また、錆びないからといって濡れたまま収納袋に入れっぱなしにすると、袋のほうがカビたり臭ったりします。ペグ本体は丈夫でも、収納袋は別物として乾かす習慣をつけておくと長持ちします。
純チタンと64チタン合金は強さが別物
同じ「チタンペグ」でも、素材が純チタンなのかチタン合金なのかで強さが変わります。神戸製鋼の資料では、純チタンの引張強さが275-735 MPa、チタン合金が620-1,800 MPaと示されており、合金のほうが上の範囲まで強度を出せることがわかります。
ペグでよく名前が出るのが「64チタン」です。強度の高いチタン合金の通称で、たとえば村の鍛冶屋のエリッゼステーク 64チタンはこの素材を使い、商品説明で「鉄製ペグよりも45%軽量で同強度」とうたっています。素材表記に「64チタン」「チタン合金」とあれば、硬い地面での使用を想定したモデルだと判断する目安になります。
一方、商品ページに単に「チタン」とだけ書かれている製品は、純チタンか合金かが読み取れないことがあります。通販の格安品には素材表記があいまいなものも混ざっているので、強度を重視するなら素材が明記されたメーカー品を選ぶのが安全です。合金の種類や成分は、各メーカーの素材表記で確認しておきましょう。
チタンは縦弾性係数がステンレスの約50%と、「しなる」性質を持っています。硬い石に当たったときに少しだけしなって逃げるので、ポキッと折れるより先に曲がるのが特徴です。軽く曲がった程度なら使い続けられることも多いですが、繰り返し曲げ戻すと弱るので、大きく曲がったら交換のサインと考えましょう。
鍛造スチール・ステンレスと比べて何が違う?重量と価格を並べてみた
同じ30cmでもステンレスとチタンでここまで重さが違う
素材による重量差は、同じメーカー・同じ長さで比べるとはっきりわかります。テンマクデザインのペグ一覧には、ボディー径Φ8mm・全長300mmでそろえたステンレス製とチタン製が並んでいます。ステンレススリムペグ30は約119g、チタンペグ 30は約68gです。
太さも長さも同じなのに、素材を変えるだけでここまで軽くなります。タープのメインポール用に2本、張り綱用に4本と30cmクラスを6本持つとすれば、収納袋を持ち上げた瞬間に違いがわかるレベルです。車で乗りつけるオートキャンプではあまり気になりませんが、駐車場からサイトまで歩く距離が長いキャンプ場や、公共交通でのソロキャンプでは差が出ます。
注意点は、重量差がそのまま価格差に表れることです。軽さを取るか、予算を取るかは、「ペグを持って歩く距離」で決めるのが現実的です。車の荷室に積みっぱなしなら、錆びにくいステンレスでも十分に役目を果たしてくれます。
キャンプ&ナイフの教科書調べ:主要ペグの公式スペック比較表
各メーカーの公式ページで確認した重量・長さ・素材を一覧にしました。価格は税込で、セット販売のものはセット価格のまま載せています。
| 製品 | 素材 | 長さ | 重量(1本) | 税込価格 |
|---|---|---|---|---|
| バーゴ チタニウム ウルトラライトステイク T-104 | チタニウム | 152mm | 7g | 770円 |
| バーゴ チタニウムステイク T-101 | チタン | 165mm | 8g | 880円 |
| バーゴ チタニウム アッセント T-106 | チタニウム | 158mm | 10g | 990円 |
| キャプテンスタッグ チタン V型ペグ18cm | チタン | 180mm | 17g | 605円 |
| エリッゼステーク 64チタン 20cm | 64チタン合金 | 200mm | 40g | 3,960円(4本セット) |
| テンマクデザイン チタンペグ 30 | チタン合金 | 300mm | 68g | 1,078円 |
| (参考)エリッゼステーク スチール 18cm | S55Cスチール | 184mm | 79g | ― |
| (参考)テンマクデザイン ステンレススリムペグ30 | ステンレス304 | 300mm | 119g | ― |
表を見ると、同じ「チタンペグ」でも7gのピン型から68gの30cmネイル型まで、重さの幅が大きいことがわかります。チタン製だから軽いのではなく、「形状と長さで重さが決まり、同じ形ならチタンが軽い」と理解しておくと選び間違えません。スチールの参考値は長さが少し短い18cmでも79gあり、20cmのチタンの倍近い重さです。
メリットとデメリットを一枚で整理
比較表を踏まえて、チタンペグの長所と短所を並べてみます。購入前にデメリット側を読んで、自分のキャンプスタイルで困らないかを確かめてください。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 同じ形のスチール・ステンレスより軽い 海水や雨でも錆びにくく手入れが楽 細くても曲がりにくく硬い地面に入る 64チタン合金なら鉄製並みの強度をうたうモデルもある | 同じ長さのスチール製より価格が高い 細いピン型は柔らかい地面で抜けやすい 軽くて地味な色が多く、草地でなくしやすい 強く曲げると元に戻しにくく交換になる |
デメリットの多くは、形状と長さを正しく選べば小さくできます。特に「抜けやすい」は細いピン型を柔らかい地面に使ったときの話で、V型や幅広型、30cmの太めのネイル型を選べば対策できます。次の章で形状ごとの向き不向きを詳しく見ていきましょう。
実は「全部チタン」にしなくていい
意外と知られていないけれど、ペグは全部同じ素材でそろえる必要はありません。むしろ、テントの四隅や張り綱のように強い力がかからない場所は軽いチタンのピン型、タープのメインロープのように風の力を一身に受ける場所は重い鍛造スチール、と役割で分けるほうが合理的です。
タープのメインロープは、突風が吹いたときにいちばん大きな力がかかる場所です。ここに細いチタンペグを使って抜けるくらいなら、重くても太くて長いスチールの鍛造ペグを2本だけ持っていくほうが安心できます。一方、テント本体を留める8本前後をチタンにすれば、全体の重さはしっかり減らせます。
この「混ぜて使う」考え方なら、高価なチタンペグを一度に全部そろえる必要もありません。まずは本数の多いテント用からチタンに置き換え、予算に余裕が出たらタープ用を検討する、という段階的な買い方で十分です。手持ちのスチールペグを無駄にしないのも、この方法の良いところです。
ピン・V型・幅広・ネイル型|形で役割がまるで変わる

ピン型は岩の多いサイトで「刺さる」のが強み
ピン型は、針金のように細い丸棒の先端を曲げたシンプルな形です。バーゴのチタニウムステイク T-101は165×3.5mm・8gで、輸入元のケンコー社の商品ページでも「ピン型なので、岩の多いテントサイトでも地面に刺さります」と説明されています。細いので石と石のすき間に入り込みやすく、硬く締まった地面にも入っていきます。
向いているのは、山岳のテント場や河原の砂利サイトなど、地面が硬いか石が多い場所です。また、UL志向の登山者が山岳テントを張る場面では、1本8gという軽さがそのまま荷物の軽量化につながります。さらに短いT-104は152mm・7gで、テントの四隅を最小限の重さで留めたい人の選択肢になります。
弱点は、地面との接触面積が小さいことです。芝生や柔らかい土、砂地では引き抜く方向に力がかかると抜けやすく、強風下のメインロープには向きません。また、細くて軽いぶん、草むらに落とすと見つけにくいので、目立つ色のループやロープをつけておくと紛失を防げます。
V型は柔らかい地面で面を使って踏ん張る
V型は、板を断面V字に曲げた形状です。キャプテンスタッグのチタン V型ペグ18cmは、サイズ16×9×長さ180mm・質量17gで、公式では「軽量なので、ツーリングテントや小型テントに最適」と説明されています。V字の面が土をつかむので、ピン型より抜けにくいのが特徴です。
この形が活きるのは、芝生や腐葉土のようなやわらかめの地面です。オートキャンプ場のフリーサイトやバイクツーリングで立ち寄る芝のキャンプ場など、ピン型だと頼りない場面でしっかり効きます。17gならピン型と比べても大きく重くならないので、ソロテント用のメインペグとして使いやすい形です。
注意点は、硬い地面や石の多い場所では打ち込みにくいことです。V字の面が石に当たると入っていかず、無理に叩くと上部が変形することがあります。また、断面がV字なので向きがあり、ロープを引く方向に対して面が受け止めるように打つのがコツです。向きを気にせず打つと、V型の強みが半減してしまいます。
幅広型は雪や砂のように崩れやすい地面の専用品
幅広型は、V型よりさらに面を広くして、崩れやすい地面でも保持力を出す形状です。バーゴのチタニウム アッセント T-106は長さ158mm・10gで、ケンコー社の商品ページでは「雪面で威力を発揮する幅広ペグ。抜き取り時に便利な紐付き」と紹介されています。
使いどころは、冬山のテント泊や残雪期のキャンプ、砂が混じったやわらかい地面です。幅の広い面が雪や砂を押さえるので、細いピン型では効かない場所でも張り綱を留められます。紐付きなので、凍った雪から抜くときに引っ張り上げやすいのも実用的な工夫です。
ただし、砂浜のように本当に崩れやすい場所では、15cm台の長さでは足りないことが多いです。海辺のキャンプで砂に打つなら、30cm以上の長さのペグや、砂に埋めて使うタイプを組み合わせたほうが安心できます。砂浜向けのペグは別の記事で比較しているので、海沿いのキャンプを考えている人は参考にしてください。

海までタープを担いでいったのに、ペグが砂に刺さらない。刺さったと思ったら、風でロープが張った瞬間にスポッと抜けてポールが倒れる。砂浜での設営で心が折れる瞬間って…
ネイル型は「迷ったらこれ」の万能タイプ
ネイル型は、太めの丸棒に釘のような頭がついた形で、鍛造ペグと同じ使い方ができるタイプです。テンマクデザインのチタンペグ 30はボディーΦ8mm・全長300mm・約68gで、公式では「ムササビウィング」クラスのタープ設営に勧められています。エリッゼステーク 64チタン 20cmも、楕円形の断面で地中で回転しないように作られたネイル型の一種です。
ネイル型のよいところは、ハンマーでしっかり叩けて、硬い地面にも柔らかい地面にもそこそこ対応できることです。オートキャンプ場の砂利サイトから芝サイトまで、場所を選ばず使えるので、ペグを1種類に絞りたい人にはこの形が向いています。タープのサブロープやテントの張り綱など、力のかかる場所にも使えます。
デメリットは、ピン型やV型に比べて重いことです。30cmで68gは同じ長さのステンレスよりは軽いものの、ピン型の数倍の重さになります。登山のように1グラム単位で荷物を削りたい人には重すぎ、逆にオートキャンプだけなら価格の安いスチールで十分という判断もあります。「徒歩やバイクで移動するが、場所を選ばず使いたい」人にちょうどよい形です。
| 地面・場面 | ピン型 | V型 | 幅広型 | ネイル型 |
|---|---|---|---|---|
| 石の多い硬い地面 | ○ | △ | × | ○ |
| 芝生・やわらかい土 | △ | ○ | ○ | ○ |
| 雪・砂混じり | × | △ | ○ | △ |
| タープのメインロープ | × | △ | △ | ○(30cm以上) |
公式スペックで比べる現行チタンペグ|7gから68gまで
エリッゼステーク 64チタン 20cmは国産の鍛造ネイル型
新潟県三条市の村の鍛冶屋(山谷産業)が作るエリッゼステークは、鍛造ペグの定番シリーズです。そのチタン版が64チタン 20cm(MK-200TI)で、φ7.8mm×200mm(鍛造部6.6mm)、重量40g/本、素材は国産の64チタン合金、製造は日本です。公式ショップでは4本セットが3,960円で販売されています。
特徴は、冷間鍛造で丸棒をつぶして作る楕円形の断面です。地中に入る部分が楕円なので、打ち込んだペグが地中で回転しにくく、ロープの向きが安定します。スチール版のエリッゼステークに慣れている人なら、同じ感覚でハンマーを振れるのも安心材料です。スチール版18cmが79gなので、チタン版は長いのに軽いという関係になります。
ソロキャンプのテント用として、硬い地面にも芝にも対応できる1本を探している人に向いています。弱点は価格で、4本セットでこの価格は鍛造スチールよりはっきり高めです。また20cmはテント本体や張り綱向けの長さで、大型タープのメインロープには短いと感じる場面があります。公式ページでは引き抜き用の工具の併用も勧められています。
| 商品名 | 鍛造ペグ エリッゼステーク 64チタン 20cm(MK-200TI) |
| メーカー | 村の鍛冶屋(山谷産業) |
| 価格帯 | 3,960円(4本セット・公式ショップ) |
| 重量 | 40g/本 |
| サイズ | φ7.8mm×200mm(鍛造部6.6mm) |
| 素材・特徴 | 64チタン合金・日本製・楕円断面で地中で回転しにくい |
テンマクデザイン チタンペグ 30はタープ用の30cm
テンマクデザインのチタンペグ 30は、全長約300mm・ボディーΦ8mm・約68g、素材はチタン合金、原産国は中国です。WILD-1などで1,078円で販売されています。公式では「ムササビウィング」クラスのタープ設営や、ウッドストーブの脚の固定用ペグ穴への使用が紹介されています。
30cmという長さは、タープのメインロープやテントのフロント側など、強い力がかかる場所を想定したものです。同じシリーズのステンレススリムペグ30が約119gなので、同じ太さ・長さのまま軽くできる選択肢になります。1本単位で買えるので、「タープの2本だけチタンにしたい」という使い方にも合わせやすいです。
注意点は、30cmを深くまで打ち込むには相応の力が要ることです。硬い地面では途中で止まることもあり、その場合は無理に叩き続けず、位置をずらして打ち直すほうがペグを傷めません。また、1本あたりの価格はスチール製より高く、タープとテントのすべてをこのペグでそろえると出費がかさみます。力のかかる場所に絞って使うのが賢い使い方です。
キャプテンスタッグ チタン V型ペグ18cmは605円の入門機
キャプテンスタッグのチタン V型ペグ18cm(M-9721)は、16×9×長さ180mm・質量17g、素材はチタン、原産国は日本です。公式オンラインストアの税込価格は605円で、今回比較したチタンペグのなかでは手に取りやすい価格帯です。
この価格なら、「チタンペグがどんなものか試してみたい」という最初の数本に選びやすいです。V型なので芝生ややわらかい地面での保持力があり、ツーリングテントや小型のソロテントに合わせやすい長さです。バイクのサイドバッグに入れても重さが気にならない17gという軽さも、ツーリングキャンパーにはうれしいところです。
デメリットは、V型の宿命として石の多い硬い地面では入りにくいことです。また頭部が平たいV型は、ハンマーの芯を外して叩くと変形しやすいので、慣れないうちは軽めに打ち込むのがコツです。長さ18cmなので、大型タープのメインロープには別途長いペグを用意しましょう。
バーゴの3本は「グラム単位」で削る人のためのペグ
アメリカのチタン製品ブランド、バーゴ(VARGO)のペグは、国内ではケンコー社が扱っています。ピン型のチタニウムステイク T-101(165mm・8g・880円)、さらに短いチタニウム ウルトラライトステイク T-104(152mm・7g・770円)、幅広型のチタニウム アッセント T-106(158mm・10g・990円)の3種類が、今回確認した代表的なモデルです。いずれも中国製です。
この3本の強みは、何といっても軽さです。テントを8本のピン型で留めても収納袋は片手に軽く収まり、登山のテント泊で重さを削りたい人に選ばれています。岩の多いテント場ならT-101、とにかく軽くしたいならT-104、雪山や残雪期ならT-106と、地面に合わせて組み合わせると無駄がありません。
ただし、どれも15〜16cm台と短く、キャンプ場の芝生サイトやタープの設営には保持力が足りないことがあります。細いぶん、ハンマーで強く叩きすぎると曲がることもあるので、石や手のひらで押し込むくらいの感覚で使うのが基本です。ソロキャンプでは、テントの四隅用と割り切って、張り綱用には別のペグを用意すると失敗しません。
なお、通販サイトにはブランド名のない格安チタンペグも多数並んでいます。たとえばSoomloomのチタンペグは20cm約40g・25cm約45g・30cm約70gと公式に表記されていますが、こうした製品は素材の等級や強度試験が明示されていないこともあります。価格だけで選ばず、素材と重量が公式に明記されているかを確認してから選びましょう。
長さは何cmを選ぶ?テント・タープ・地面で変わる目安

テント本体は15〜20cm、張り綱とタープは30cmが基本
チタンペグの長さは、留める場所にかかる力で決めます。テント本体の四隅やフロアのループは、それほど大きな力はかからないので15〜20cm程度で足ります。一方、テントの張り綱やタープのロープは、風を受けると強く引っ張られるため、20cm以上、タープのメインは30cmクラスを選ぶのが目安です。
今回の比較でいえば、バーゴのピン型やキャプテンスタッグのV型はテント本体用、エリッゼステーク 64チタン 20cmはテント本体から張り綱まで、テンマクデザインのチタンペグ 30はタープのメインロープ用、という役割分担になります。ソロキャンプなら「20cmを8本+30cmを2本」あたりから考え始めると組み立てやすいです。
ただし、キャンプ場の地面によって必要な長さは変わります。地面が硬いサイトでは短くても効きますが、やわらかい芝や砂混じりのサイトでは、同じ長さでも抜けやすくなります。初めて行くキャンプ場では、長めのペグを数本予備で持っていくと、現地で慌てずに済みます。
失敗例1:細いピン型だけでタープを張って夜中に抜けた
よくある失敗が、軽さを優先してピン型のチタンペグだけを持っていき、芝生のサイトでタープを張ったケースです。夕方は風がなく問題なく張れても、夜中に風が強まるとメインロープのペグがじわじわと浮き上がり、タープがばたつき始めます。最悪の場合、ポールが倒れて焚き火の近くに落ちることもあります。
原因は、ピン型の細い丸棒が、やわらかい地面で引き抜く力に耐えられなかったことです。ピン型は硬い地面に「刺さる」のは得意でも、芝や腐葉土で「踏ん張る」のは苦手です。特にタープのメインロープには、テントの何倍もの力が風のたびにかかります。
対策は、メインロープだけは30cmクラスのネイル型か鍛造スチールを使うことです。さらに、ペグを2本クロスさせて打つ、ロープを長めにとって角度を浅くするなどの工夫で保持力を補えます。天気予報で夜間の風が強まるとわかっている日は、タープの高さを下げておくのも有効です。
タープやテントのペグが抜けると、ポールや幕体が倒れて人やテーブル、焚き火台にぶつかる危険があります。強風が予想される日は、ペグの長さと本数を増やすだけでなく、タープを低く張る・設営を見送るといった判断も大切です。焚き火の風下にタープを張っている場合は、火の粉と倒壊の両方に注意してください。
砂浜・雪・河原は「長さより形」で選ぶ
特殊な地面では、長さよりも形状が効いてきます。砂浜では砂が崩れやすく、ピン型はほとんど効きません。幅広型や30cm以上のペグ、あるいはペグを砂に横向きに埋めて使う方法が現実的です。雪の上ではバーゴのチタニウム アッセントのような幅広型が役立ちます。
河原の砂利サイトは、逆に石が邪魔でペグが入らないことが多い地面です。ここでは細いピン型や、硬い地面に強いネイル型が活躍します。どうしても入らない場所では、大きめの石にロープを結んで重しにするという古典的な方法も使えます。チタンペグにこだわりすぎず、現地の状況に合わせて柔軟に考えましょう。
注意したいのは、キャンプ場によってはペグの使用自体に制限がある場所があることです。ウッドデッキのサイトや、芝の養生のためにペグの種類や長さを指定しているキャンプ場もあります。予約時にサイトの地面と注意事項を確認し、それに合わせてペグを選ぶのが確実です。
ソロキャンプの「最低限セット」の組み方
ここまでの内容をまとめると、ソロキャンプのチタンペグは次のような組み合わせがひとつの基準になります。テント本体用に15〜20cmのピン型またはV型を6〜8本、張り綱用に20cmのネイル型を4本、タープを張るなら30cmクラスを2本です。
この組み方なら、ほとんどのオートキャンプ場のサイトに対応でき、荷物も軽く抑えられます。バイクや徒歩で移動するソロキャンパーであれば、この構成でペグケースひとつに収まります。家族キャンプの場合は、テントの大きさに応じて張り綱用とタープ用の本数を増やしてください。
注意点は、予備を必ず1〜2本持つことです。チタンペグは曲がりにくいとはいえ、石に当たって曲がることや、草むらでなくすことはあります。予備がないと、1本失っただけでテントの張り綱が1本足りない状態になってしまいます。
打ち込みと抜き方のコツ|曲げない・なくさない扱い方
ペグハンマーは「重さで押し込む」感覚で使う
チタンペグを長持ちさせるいちばんのコツは、ハンマーで強く叩きすぎないことです。チタンは硬くて強い一方、細いペグの場合は横から力がかかると曲がることがあります。ハンマーを大きく振りかぶるのではなく、重さを乗せて真上から押し込むように叩くのが基本です。
ネイル型のエリッゼステークやテンマクデザインのチタンペグ 30のように太めのペグなら、鍛造ペグ用のハンマーで普通に打ち込めます。一方、バーゴのピン型のように細いペグは、ハンマーよりも手で押し込むか、軽く叩く程度にしておくと曲がりにくくなります。ハンマーの重さや形はペグの種類によって合う・合わないがあるので、手持ちのペグに合わせて選びましょう。

テントを張ろうとしたら、付属のペグが石に当たって曲がった。仕方なく足で踏み込んだら地面に半分しか入らず、夜中の風でタープが煽られて目が覚めた——キャンプを始めて…
注意したいのは、石に当たったときの対応です。手応えが急に硬くなったら、それは石に当たっているサインです。そのまま叩き続けるとペグが曲がるか、ハンマーが滑って手を打つ原因になります。一度抜いて、少し位置をずらして打ち直しましょう。
失敗例2:撤収時に引き抜けず、無理にこじって曲げた
もうひとつよくある失敗が、撤収時の抜き方です。硬い地面に深く打ち込んだチタンペグは、手で引っ張っただけでは抜けないことがあります。そこでペグの頭にロープをかけて横に引っ張ったり、ハンマーでこじったりして、ペグを曲げてしまうケースです。
原因は、ペグを打ち込んだ方向と違う向きに力をかけたことです。ペグは打ち込んだ角度のまま、まっすぐ引き抜くのが基本です。横からこじると、細いチタンペグはあっさり曲がってしまいます。特に64チタン合金のような硬い素材でも、てこの原理で大きな力がかかると変形します。
対策は、ペグ抜き用のフックがついたハンマーを使うか、別のペグの頭をフックに引っかけて、打ち込んだ角度に沿って引き抜くことです。エリッゼステークの公式ページでも、別売の引き抜き用工具の使用が勧められています。抜きにくいときは、ペグを前後に小さく揺すって周りの土をゆるめてから引き抜くと、力をかけずに抜けます。
撤収前に、持ってきたペグの本数を数えておきましょう。チタンペグはシルバーやグレーの地味な色が多く、芝生や落ち葉の上に置くとすぐに見失います。抜いたペグはその場で地面に置かず、すぐにペグケースに入れる習慣をつけると紛失を防げます。サイトに残したペグは、次に使う人のけがの原因にもなります。
ペグを打つ角度とロープの向きで保持力が変わる
ペグの保持力は、打ち込む角度とロープの向きでも大きく変わります。基本は、ロープを引く方向と反対側にペグの頭を少し傾けて打ち込むことです。こうするとロープが引っ張るたびにペグが地面に押し付けられ、抜けにくくなります。
特にV型や幅広型のペグは、面の向きも大切です。ロープを引く方向に対して面が受け止めるように打ち込むと、土をしっかりつかんで保持力が上がります。エリッゼステークのように断面が楕円のペグも、楕円の長い方がロープの力を受け止める向きになるよう意識すると効果的です。テント設営全体の流れやペグダウンの手順は、別の記事で詳しく解説しています。

キャンプ場に着いて袋からテントを出した瞬間、「どこから手をつければいいんだろう」と固まってしまう。テントの張り方でつまずく人の大半は、ポールの通し方ではなく、そ…
注意点は、角度をつけすぎると逆に抜けやすくなることです。ペグが地面に対してほとんど寝てしまうと、地中に入る部分が浅くなり、保持力が落ちます。適度な角度を保つことを意識してください。また、ロープの結び目がペグの頭から外れないよう、ペグのフックや溝にしっかり掛かっているかを確認しましょう。
チタンペグが向く人・向かない人|シーン別の選び方
徒歩・バイク・登山のソロキャンパーには向いている
チタンペグがいちばん活きるのは、荷物を自分で運ぶ距離が長いキャンプです。電車とバスを乗り継ぐソロキャンプ、バイクツーリング、山岳テント泊では、ペグの重さがそのまま移動の負担になります。スチールからチタンに替えるだけで、背負う荷物を軽くできます。
具体的には、登山のテント泊ならバーゴのピン型や幅広型、バイクツーリングならキャプテンスタッグのV型やエリッゼステーク 64チタン 20cm、徒歩キャンプでタープも張るならテンマクデザインのチタンペグ 30を組み合わせる、という選び方が考えられます。どのシーンでも、軽さと錆びにくさの両方の恩恵を受けられます。
注意点は、軽量化を追求しすぎて保持力を犠牲にしないことです。ソロキャンプは、トラブルが起きたときに助けてくれる人がいないことも多いです。テントが夜中に崩れると、ひとりで対応しなければなりません。軽さと固定力のバランスを考えて、力のかかる場所には長めのペグを使いましょう。
車で行くオートキャンプなら無理に選ばなくていい
逆に、車の荷室に積んでサイトの横に駐車できるオートキャンプでは、チタンペグの軽さのメリットはあまり感じられません。この場合、価格の安い鍛造スチールペグのほうが、同じ予算で本数を多くそろえられます。
鍛造スチールペグは重いぶん、ハンマーで強く叩いても曲がりにくく、硬い地面にも打ち込みやすいという長所があります。ファミリーキャンプで大型テントとタープを張る場合、ペグの本数は20本を超えることも珍しくありません。そのすべてをチタンでそろえるのは、予算的にも現実的ではないでしょう。
ただし、海辺のキャンプ場や雨の多い地域でキャンプをする人は、錆びにくさのためにチタンを選ぶ価値があります。スチールペグは塗装がはがれると錆びるため、使用後に洗って乾かす手間がかかります。手入れの時間を減らしたい人は、オートキャンプでもチタンペグを検討してみてください。
予算が限られるなら「本数の多い場所から」置き換える
チタンペグは魅力的でも、一度に全部そろえるのは負担が大きいものです。予算が限られている場合は、本数の多い場所から順にチタンに置き換えていく方法がおすすめです。テントの本体と張り綱は本数が多いので、ここを置き換えると重量の変化を感じやすくなります。
たとえば、最初はキャプテンスタッグのV型を数本買ってテント本体の四隅に使い、様子を見ながらエリッゼステーク 64チタン 20cmで張り綱用をそろえ、最後にタープ用の30cmを追加する、という順番です。こうすれば、チタンペグの使い心地を確かめながら、自分のスタイルに合った組み合わせを見つけられます。
注意点は、安さだけで通販の格安品を大量に買わないことです。素材や強度が明記されていない製品は、実際に使ってみると曲がりやすかったり、長さや重さが表記と違ったりすることがあります。数本だけでも信頼できるメーカー品を選んだほうが、結果的に長く使えます。
まとめ|チタンペグは「使う場所」を決めてから買う
チタンペグは、軽くて錆びにくく、硬い地面にも打ち込める頼もしい道具です。一方で、価格は鍛造スチールより高く、細いピン型はやわらかい地面では抜けやすいという弱点もあります。大切なのは、「どこで、何を留めるか」を先に決めてから、形と長さを選ぶことです。
ソロキャンプなら、テント本体用に軽いピン型やV型、張り綱用に20cmのネイル型、タープを張るなら30cmクラスを組み合わせるのが基本の形です。全部をチタンにする必要はなく、タープのメインロープのように力がかかる場所には、重くても太い鍛造スチールを使うという選択も十分に合理的です。
最初の一歩としては、次のキャンプで使うテントのペグの本数と長さを数えてみてください。そのうちテント本体の数本をチタンペグに置き換えるだけでも、軽さと錆びにくさの違いを実感できるはずです。
※価格・仕様は2026年9月時点の各メーカー公式情報をもとにしています。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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